ネパール通信

ネパールでのボランティア活動報告を通して、生きた現地情報をお伝えします。

新たな支援部落の小学生

10月19日(金)天気:晴れ 気温:20℃ 湿度:60%

ダサイン・ティハールお祭りがはじまった!

今回は、昨年から調査してきたスクテ メールダラ村(sukute mel danda)の
ブメソリー(Bhumeswori)プライマリースクールに通う、タマン・パハリの子供たち、
55人についてお伝えしたい。

10月7日 雨期の終わったメールダラ村は、緑一色の畑が広がり「眼に優しい景色」であった。
我が家からバスと徒歩で5時間半あまりの山岳部落。
途中の山道は、日本の山の中を歩いている錯覚さえ覚える登り道で、
適当に日差しがあり水場も1か所ではあるがあった。

しかし、荷物(子供服)の多い今回は長い登り道には泣かされた。
2時間ほどの登りばかりの道のりは、休むタイミングが計れない。
国道からスンコシ川を挟んだ対岸のため、車の普及は遅く、(バスはない)
たった1台の大型トラックと小型トラックが2台で、動いている時にうまく出会えればいいが
そうでなければ「徒歩」を余儀なくされる極めて不便な環境である。(時刻表など全くないネパールである)

この村を知ったのは、一昨年のトゥロパカルからの帰りのバスの中である。
カリチョールから乗ったバスで、座った座席の隣の男性に「何処に何の目的で行ってきたのか?」との問いに
トゥロパカル村へ「お金が無くて学校に通えない、
また学用品が買えない子供に制服・学用品を支援しに通っている」と答えると、
「是非一度私の村の学校へも来てほしい、私の村はこの辺りの学校の何処よりも貧しい」と訴えられて
「今回は予算的に無理だから次回に」と言ってその場は断った。

聞けば、現在でも中学生は1時間ほどかけて通っている。(小学校から見える位置にある)
彼はこの環境を改善すべく政府に働きかけて30年ほど前に「小学校」を作ったが、
貧富の差が激しいため「教える側にもためらいがあり難しい」と言っていた。

政府から派遣された「校長先生」を除き先生はたったの3人、
これで全ての子供55人の教育をやっているが教育材料や生徒の使う備品が全く不足していると訴えていた。
(校長先生でなく小学校を作った村人で、校長先生は何もしない)

政府は校長先生と校舎を建ててくれたが、後は全て村人で運営しているとの事。
村々によってかなり政府の援助が違うことに驚いた。
多分力関係であろうが、「教育の場」でさえ差別が当たり前のネパールである。

ある村ではパソコンやプリンターまであるが、ここでは全く無い。
勿論、私立学校は立派な学校が幾つもある。
しかしここの政府の学校は、とても学校とは言えないような設備である。

昨年、初めてこの村を訪れた時には村人から「外国人が初めて来た」と聞いて驚いたが、
ここの地理的要因を考えれば理解できる。

学校に到着すると明らかに貧富の差が分かる児童が集まって来て、私の周りに寄ってきたが
「パハリの子供たち」は遠巻きにして見ているだけであった。
持ってきた「子供の衣類」を配布する時にも近くには寄ってこない。
先生に呼ばれてはじめて寄ってきた。

タマンの子供たちは大体制服を着ているが、パハリの子供たちは「汚れ破れた私服の衣類」であった。
先生には予め「貧乏な家庭の子供」を支援すると伝えていたため、彼らが対象となることは分かっていた。
しかし、予定では15人までであったが17人居たため、先生が「どうしらいい?」と聞いてきた。
躊躇なく「全員OK」と答えて名前や年齢・クラスをパトネちゃん(ミナの弟)聞き取るが、声に元気がない。
持ってきた「キャンデー」を渡すと小さな声で「ナマステ」と言って受け取って行った。

その中に一人の女の子が「全身が湿疹」で何時でも掻いていた。
次回来るときには薬をと伝えて帰した。
生活環境も劣悪であろうことは推察できるが、現在そこまでは介入できないと考えて手を出さない。

因みに、パハリの子供たちはチャーマポレ(清掃を仕事とする民族)や
カミ民族(加治屋さん)と同じカーストである。
従ってタマンの子供たちと一緒に「遊ぶ」こともない。
通常は別々の集落を作るが、ここでは混在して生活している。

この村ではトゥロパカル(昨年まで支援していた村)と同様「お米」は極めて少なく、
殆どがトウモロコシとアワ(コド)が主食であったが、私が食事をお願いした家では「お米」を出してくれた。
もちろん野菜のみのダルスープとタルカリ(塩味だけの豆おかず)であったが、
急な来客にも関わらず「お米」を手配してくれたのには感謝・感謝であった。

食事が終わって家を出て来るときには、そこの子供が「チュラ」だけを食べていて「お米」は口にしていなかった。
(チュラとはお米を半分だけ炊いて、それを潰し乾燥させたもので、アッサンバザールなど何処にでも売っている。
ネパールでは普通の食事である。
(カジャと言われる昼食もこれを食べる人たちがほとんどである)
少なからず「罪悪感」を感じながら「ダンネバード」を繰り返して家を後にした。
(塩味だけで決して美味しいダルバートではなかったが、彼らにとってはご馳走であった事は私にも分かった)

こんなに格差のあるカーストの混在した学校もめずらしい。
多くの村では一人や二人の低カーストの児童は居るが、
ここのようにかなりな割合で混在しているのは見た事がなかった。
(個々カースト毎に部落を形成しているのは見る)
人口の4割がパハリ民族である。(この部落の人口は約400人)
今後、最低3年間は支援して行く事になる。

パハリの子供たち写真を撮るために並んでもらったが、普段では有り得ない並び方。
(カーストが大きく違う民族では一緒に並ぶ事はない)
配布した真新しい服を着ている子供もいる。(配布したら直ぐに着替えた)




さらに、10月13日から2泊3日の日程でベルギーのボランティア仲間である
フランソワーズさんたち3人が「是非新しい支援先へ行きたい」と言って「銀杏旅館」に来てくれた。
彼女たちは村の子供たちの「歓迎ぶり」に驚き、「はじめてのヨーロッパ人」を見たさに
村人が集まってくるのにも驚き「サプライズの連続であった」との感想を、帰ってから聞かされた。
村人は2週続けて外国人が訪れた事にも「驚き」であったが、我々にしても同様の驚きである。
中でもフランソワーズさんが「私たちは動物園のアニマル同様」だと言ったのには思わず「笑い転げた」が、
それも当たっている歓迎ぶりであった。

IMG_0124.jpg
フランソワーズさんと一緒に楽しく遊んでいる子供たち



今年の12月末には制服・文房具を持っての訪問を約束し村を離れた。
その時も村人や子供たちが別れを惜しんで、何時までも歌や踊りを止めないので
仕方なく我々から「これでお別れです。」と言って村を後にしたが
多くの村人と子供たちが何時までも見送ってくれていた。

吊り橋を渡る
帰り道の吊橋




10月7日にこの村へ来る途中(山の中腹)で「大事件」に遭遇した。
早朝午前5:30ごろ、木に首を吊って主婦(42歳とのこと)が自殺した。
その訳であるが、ネパールでは公的には一夫一婦制であるが、一夫多妻がかなり横行していて、
この女性も主人から何の前触れもなく第二夫人を連れて来られて
「今日から一緒に生活する」と言われ、今回の事件になったとの事。

私が見たのは正午ごろで事件発生から6時間半あまり、遺体を覆う事無く「ぶら下がった」状態で放置されていた。
周りには野次馬が150人近く集まり警察の動作を見守っていた。(画像もあるが、掲載は控えたい)
彼女には息子が三人居て、二人は成人しているが残る一人はまだ9年生である。
今後の家庭内の問題が心配される。
ここでは、こうした事件が大きく報道されることはなく「うやむや」の内に過ぎ去ってしまうが、
やはり女性にとって「一夫多妻」はかなり大きな問題でもある。
政治的解決は無いものだろうか?
それとも男尊女卑からくる問題だろうか?

また、ここネパールで行われる「SLC」なる義務教育終了試験に合格しなかった子供たちも、
毎年数十人自殺している。
ここではSLCに合格する事が「大きなステータス」になっている。
合格しても就職先は極めて少ないのに・・・



IMG_0050.jpg




では次回「ネパール通信」まで。


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  1. 2012/10/19(金) 09:38:19|
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プロフィール

筋田 雅則

Author:筋田 雅則
20代半ば、岐阜県山岳連盟の
カシミール遠征隊へ招聘
その帰り、初めてネパールへ立ち寄る。

その後、ネパールの同宿の山仲間と、
「学校づくり」を開始し約30建設
ネパール支援を何十年も繰り返し、
定年退職後、ネパールへ移住。

現在はカトマンドゥ在住、
ラムチェ村を中心にボランティア活動を行う。

ブログでは、ネパールでの
ボランティア活動報告を通して
生きた現地情報をお伝えしていきます。

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